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東京地方裁判所 昭和62年(ワ)30号 判決 1992年4月21日

原告

谷口インキ製造株式会社

右代表者代表取締役

谷口良雄

右訴訟代理人弁護士

藤井博盛

被告

株式会社ホームバリュー

右代表者代表取締役

若林将夫

右訴訟代理人弁護士

楠本博志

右訴訟復代理人弁護士

山内堅史

主文

一  被告は、原告に対し、別紙物件目録一記載の建物を明け渡せ。

二  被告は、原告に対し、平成三年一一月一三日から右建物明渡し済みに至るまで、一か月五〇四万円の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、別紙物件目録一記載の建物を明け渡せ。

2  被告は、原告に対し、昭和六一年一二月三日から右建物明渡し済みに至るまで、一か月五〇四万円の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は、被告の負担とする。

4  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  賃貸借契約の締結

原告は、昭和五五年六月一六日、被告に対し、原告の所有する別紙物件目録一記載の建物(以下「本件建物」という。)を、期間三年、賃料一か月二四〇万円の約定で貸す旨の賃貸借契約を締結した(以下「本件賃貸借契約」という。)。本件賃貸借契約は、同五八年一〇月三日に、期間を同六一年六月一五日まで、賃料一か月二五二万円の約定で合意更新された。本件賃貸借契約には、賃貸借契約が終了した際に被告が本件建物の返還をしないときは、返還に至るまで賃料の倍額に相当する損害金を支払う旨の約定があった。

2  被告の無断増改築行為等

(一) 原告は、昭和五八年一〇月、原告が所有する本件建物敷地(以下「本件土地」という。)上に、被告が別紙物件目録二記載3の建物、同目録二記載5の建物(Aイ及びAロ建物)を原告に無断で構築したことを発見し、被告に撤去を催告した。

(二) しかし、被告は、右撤去を早急に行う旨回答したにもかかわらず、これらを撤去しないばかりか、昭和六一年までに、本件建物及び本件土地上に、原告に無断で、次の増改築等を行った。

(1) 別紙物件目録二記載1の広告板の設置

(2) 同記載2の広告塔の改築

(3) 同記載4の建物の増築

(4) 同記載5の建物の増築(Aイ及びAロ建物の接合)

(5) 同記載6の建物の増築

(6) 同記載7の建物の増築

(7) 同記載8の建物の増築

(8) 同記載9の広告板の設置

(9) 本件建物の外壁及び屋根に対する広告文言図絵の無断塗布又は付着

(10) 本件建物の外壁の無断塗り替え

(三) さらに、被告は、本件訴訟継続中の平成三年九月二六日までに、本件建物及び本件土地について、原告に無断で、次のような行為をした。

(1) 本件建物の床の全面的改装

(2) 本件建物内の南東の角における間仕切りの設定(別紙現況図⑱)

(3) 本件建物外壁のデザイン変更及び塗り替え

(4) 別紙物件目録二記載4の建物の中央部通路の閉鎖及び外壁面の改装

(5) 本件建物及び本件土地上の工作物における看板の新設

(6) 本件土地上の店舗新設(別紙現況図⑫)

(7) 本件土地上の危険物貯蔵庫の新設(別紙現況図⑬)

(8) 本件土地南側のシャッターの新設(別紙現況図⑭)

(9) 別紙物件目録二記載7の建物の屋根の拡張(別紙現況図⑦)

(10) 床面積約八〇平方メートルに及ぶ店舗の新設(別紙現況図⑩)

これらの状況を発見した原告は、被告に対し、同月二七日、一切の工事中止及び二棟の建物撤去を求めたが、被告は更にその後、本件建物北側入口部分の自動ドア部分を撤去して、売場用に改造し、本件建物の壁に穴を開けて、本件土地上に空調設備を新設し、別紙物件目録二記載4の建物内の通路部分を店舗にして、空調設備をなし、外壁工事も行った。

3  本件賃貸借契約の解除原因

(一) 本件建物の賃借人である被告が本件土地について有する敷地利用権は、本件建物をその使用目的である建築材料販売等ホームセンター用店舗として使用収益するのに必要な合理的限度内でなければならないところ、被告の前記無断増改築は、ホームセンターとしての使用目的に照らしても合理的な利用の限度を逸脱している。したがって、本件賃貸借契約における原告との信頼関係は、被告の右無断増改築により破壊された。

(二) さらに、原告は、被告に対し、このような無断増改築を指摘して、それを理由に本件訴訟を提起したのであるから、被告は、訴訟の結果が確定するまで、新たな増改築行為を差し控えるべきであったのに、前記2(三)の本件建物及び本件土地上の建物の増改築等を、原告に無断で行った。被告のこのような行為により、本件賃貸借契約における原告と被告との信頼関係は破壊された。

4  原告は、昭和六一年一〇月二九日、被告に対し、前記2(二)の無断増築物の撤去を行うよう催告したが、被告はこれに応じないので、同年一二月二日、被告に対し、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

よって、原告は、被告に対し、所有権に基づき、本件建物の明渡しを求めるとともに、本件賃貸借契約における約定に基づき、本件賃貸借契約解除の意思表示がなされた日の翌日である昭和六一年一二月三日から本件建物明渡し済みに至るまで一か月五〇四万円の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否及び被告の主張

1  請求原因1記載の事実は認める。ただし、本件賃貸借契約が締結されたのは、昭和五五年六月一九日である。

2  請求原因2について

(一) 請求原因2(一)記載の事実のうち、被告が同記載の建物を建築したことは認め、原告に無断で建築したことは否認し、原告がこれを発見して被告に撤去を催告したことは知らない。なお、これらの建物は、撤去が容易ないわゆる仮設建物にすぎない。

(二) 請求原因2(二)記載の事実のうち、被告が(1)及び(3)から(10)までの建物を建築したことは認め、同(一)記載の各建物を撤去する旨回答したこと、被告が無断で建物を建築したこと及び同(二)(2)の広告塔が改築されたことは否認する。なお、これらの建物等は、いずれも仮設建物など、容易に撤去できるものばかりである。また、別紙物件目録二記載3の建物は、後日被告が撤去した。

(三) 請求原因2(三)記載の事実のうち、被告が本件訴訟係属中の平成三年九月から一〇月ころまでに、同記載の各工事を行ったことは認め、その余は否認する。

(1)は、損耗が著しいことから行った工事である。(2)は、防災、安全上の見地から変電所の囲いを設置したものであり、原告が指摘する間仕切りは、変電所の囲い及び床と分離されており、造作に当たらない。さらに、被告は、これを可動式の衝立に変更した。(3)は、本件建物を店舗として使用するために最小限必要な補修である。(4)は、盗難予防のために遮蔽したにすぎず、これに対するその後の外壁工事は、薄い壁材を張り付けたにすぎず、何ら構造に変更は加えられていない。(5)も、本件建物を店舗として賃貸している以上、原告により当然承認されている工事である。(6)は、簡易なテントであって、何ら問題にならないが、被告は、原告の要請に従ってこれを撤去した。(7)は、消防署の指導で置いた単なる金属製の物置である。(8)は、レール式であった門扉を風防用を兼ねてシャッターに代えたもので、店舗としての使用に必要である。(9)も、被告が設置した庇を若干延したにすぎない。(10)は、単なるテントであり、仮設建物にすら当たらないが、被告は、原告の要請に従ってこれを撤去し、最も簡単な構造のテントを二個設置している。原告の指摘する空調設備等も、老朽化した設備を取り替えたにすぎない。また、自動ドアは、そもそも被告の所有であり、改修のために撤去したにすぎない。

3  請求原因3について

(一) 請求原因3(一)記載の事実は否認する。

被告は、ホームセンター用の店舗に使用する目的で本件建物を借りたのであるから、ホームセンターの経営という目的を達するために常識的な範囲で敷地を利用することや、広告塔を改修することなども、本件賃貸借契約に伴って許容されるべきである。被告が本件土地上に建築した建物等は、ホームセンターの営業に伴う常識的な範囲の施設であるのみならず、いずれも仮設建物であって、撤去が容易である。したがって、被告の増改築等の行為は、本件賃貸借契約に基づく敷地利用権等の範囲内の行為として適法であるから、これによって原告と被告との信頼関係が破壊されることはない。

(二) 請求原因3(二)記載の事実は否認する。

被告の改修工事は、同2(三)(2)記載の変電所の囲いを除いて、本件建物の模様替え又は増改築に該当しないが、被告は、右変電所の囲いを可動式の衝立に変更したほか、原告の要請に応じて、各テントを撤去しており、本件賃貸借契約に基づく建物の使用権や敷地利用権の範囲を逸脱していない。

4  請求原因4記載の事実は認める。

第三  証拠<省略>

理由

一請求原因1記載の事実は、当事者間に争いがないので、被告による本件土地上の建物等の増改築及び本件建物の改修が、本件賃貸借契約における原告と被告との間の信頼関係を破壊するに足りる債務不履行に該当するかについて判断する。

1  請求原因2記載の事実のうち、被告が(一)記載の工作物を設置したこと、(二)記載の(1)及び(3)から(10)までの工作物を設置したこと及び本件訴訟継続中の平成三年九月から一〇月ころまでに、(三)記載の各工事を行った事実は、当事者間に争いがなく、また、原告代表者尋問の結果によれば、被告が(二)記載の(2)の広告塔改築工事を行った事実を認めることができる。

2  ところで、建物の賃借人が賃借建物の敷地上に建物等の工作物を設置し、また、本件建物に改修を加えたことが、建物賃貸借に伴う敷地利用権や建物使用権の範囲を逸脱し、契約当事者間の信頼関係を破壊するものとして解除原因となるか否かについては、賃借人が敷地上に設置した工作物や建物に設置した造作について、賃借建物の用法との関係、規模、構造、賃借建物への影響等を検討するのはもとより、賃借人の承諾の有無や、建築及び設置の経緯を考慮して判断することが不可欠である。

3  そこで、前記増改築等に関して、これらの事情について検討する。

(一)  被告の増改築等に関する規模、構造や使用目的等について、証拠によれば、次の事実が認められる。

(1) 本件賃貸借契約における本件建物の用途について、原告と被告との間で、建築材料販売等ホームセンター用店舗として使用収益することが約定されていた。また、本件賃貸借契約においては、被告が本件建物の改築、増築、修繕その他本件建物の原状に変更を来すような一切の造作加工又は模様替えをなすには、原告の書面による承諾がなければならないとされていた(<書証番号略>及び被告代表者尋問の結果)。

(2) 被告が昭和六一年までに設置した建物は、温室や肥料、園芸用品、ペット等の商品置場に使用されていたものであり、広告板や広告塔も、被告の営業する店舗「ホームバリュー」の看板等に使用されている。しかしながら、本件土地のうち、これらの建築物等が設置された本件建物西側の空地部分は約一〇〇坪であったのに対して、これらの建築物等の占有面積は合計二三二平方メートルであり、その後撤去した別紙物件目録二記載3の建物を除いても、一九五平方メートルに及んでいた。その大部分はプレハブ等の仮設の建物であるが、軽量ブロックで基礎ができていたり、柱がアンカーボルトによって地面に固定されたりしているほか、広告板の土台はコンクリートで固められている。これらの建築物のうち、広告塔は被告が本件建物を借りる前から存在したものであるが、その他の建築物は被告が賃貸後に設置した(<書証番号略>及び被告代表者尋問の結果)。

(3) 被告が平成三年一〇月までに設置した工作物は、簡易なテント様の店舗及び危険物の貯蔵庫であり、その他の本件建物等の改修の多くは、従来の設備の老朽化や汚損等に伴う改修であり、店内の間仕切りは、鈴木電気管理事務所の勧告を受けて、安全確保の目的で設定したものである。しかし、工作物の中には、ボルト等で地面に固定されているものも見受けられる。また、本件土地上におけるこの増改築により、被告の設定した建物等の占有面積は、従来の約一九五平方メートルから更に約八〇平方メートル程度増大した(<書証番号略>及び被告代表者尋問の結果)

(4) 被告は、昭和六二年五月一日までに、別紙物件目録二記載3の温室を撤去した。また、原告の要請を容れて、平成三年一〇月までの増改築部分のうち、現況図⑩及び⑫記載の店舗を撤去したほか、本件建物内の間仕切りも可動式の衝立に変更した(<書証番号略>)。

(二)  また、被告の増改築等の経緯について、証拠によれば、次のような事実を認めることができる。

(1) 昭和六一年以前の増改築について、原告代表者は、仮設建物の設置その他被告の増改築につき、一切承諾を与えず、むしろ、同六〇年に下水工事が行われた際を初め、何度も被告に本件土地上の建物の撤去を要請した(原告代表者尋問の結果)。そして、原告から被告に対し、同五八年一二月二六日、本件土地上の建物の撤去を求める旨の内容証明郵便が送られ(<書証番号略>)、同六一年一〇月二九日には、被告の本件土地上における増改築建物の撤去を求める旨の内容証明郵便が原告から被告に送られた(<書証番号略>)。

これに対し、被告代表者は、別紙物件目録二記載5の建物を設置する際など、原告とのコミュニケーションが良好なときには、原告に仮設建物の設置について連絡しており、また、昭和六〇年ころにも、原告側との間で、仮設建物を設置する場合の取扱いについて、原告、被告代理人間でルールを作ろうという話があったと供述する。しかし、右供述を裏付ける証拠は存在せず、かえって前記認定事実からは、このような承諾があったとみることは不自然であることから、右被告代表者尋問の結果は採用できない。そして、他に前記原告代表者尋問の結果を覆す証拠はない。

以上によれば、昭和六一年までの被告の増改築は、原告の承諾がないまま行われたものというべきである。

(2) また、平成三年一〇月までの被告の増改築及び改修に関して、<書証番号略>、証人谷口敬子の証言及び被告代表者尋問の結果によれば、同年八月二七日、被告から原告に対し、本件建物の老朽化に伴う改修等をしたいとの申入れがあったので、原告は、現場を見て必要な措置をとりたいので、適当な日時を連絡してほしい旨回答したところ、同年九月一八日、被告代表者から同月三〇日ころ工事に着手したいとの電話があったので、同月二六日に本件建物を見に行ったところ、請求原因2(三)(1)から(10)までに記載の各工事が行われていたことを発見し、直ちに被告に対して内容証明郵便により工事の即時中断を要請したが、その後も、建物の一部が撤去される一方で、若干の改修工事等が行われた事実が認められる。

(3) さらに、<書証番号略>及び証人谷口敬子の証言によれば、右工作物の設置及び建物の改修は、本件訴訟において、本件土地上の建築物等の現状を変更しない形で本件賃貸借契約を継続する方向での和解交渉が進行していた時期に行われたことが認められる。

(三)  以上の事実に基づいて、信頼関係の破壊に至る程度の債務不履行の有無について判断する。

(1) 被告のした工事のうち、本件建物に加えた改修工事等については、本件賃貸借契約において、本件建物の模様替等に該当する工事について原告の書面による承諾が要求されているにもかかわらず、被告は原告に事前連絡をしたにとどまり、十分な承諾を取って工事に着手したとはいえないが、工事の内容が店舗としての使用目的に合致し、本件建物の客観的価値を高めたことなどに照せば、これをもって直ちに信頼関係を破壊する程度の責務不履行があったとまでいうことはできない。

(2) また、本件土地上における工作物等の設置について検討するに、建物賃借人の敷地利用権は、その建物の賃借目的を達成するために必要であることが合理的に認められる限度で付随的に存するというべきであるが、本件建物は、いわゆるホームセンターの店舗として賃貸されたものであり、このような店舗においては、扱われている商品の多様性や性質、形状、重量などから、建物の敷地も屋外の売場として使用されていることが一般的であり、また、自動車等により来店する客のための広告板等の設置の必要性も認められるところであるから、設置物の用途、大きさ、構造等の点で合理的に認められる限度においては、賃貸人の承諾がなくとも、その敷地に売場や付属設備を設置することができるというべきである。

(3) しかしながら、本件土地上の建築物等についてみると、その一つである温室が撤去されている事実にかんがみれば、その撤去が比較的容易であるものと推認されるものの、独立の建物としての構造を備えた建築物もあること、その占有面積は広範に及び、本件建物敷地のうちの空き地の相当部分を占めること、さらに、店舗としての効用を全うするためにこれらの建築物を設置するなどして本件土地を利用する必要があれば、本件土地に賃借権を設定することも可能であり、またそのようにすべきであることを考慮すれば、被告の設置した本件土地上の建築物等が、右設置の事実だけをとらえて直ちに信頼関係が破壊されたとはいえないとしても、本件賃貸借契約に伴う敷地利用権の範囲にとどまるとはにわかにいい難い。

(4)  加うるに、被告の本件土地上における工作物等の設置は、当初において原告の承諾のないまま行われたのみならず、その後本件訴訟において、本件土地上の工作物の設置の可否が訴訟の焦点となり、また、本件土地の利用状況を現状のまま固定することを前提とした和解が検討されている最中にも、再度無断で行われている。このような行為は、単に無断で工作物を設置することにより契約当事者間の信頼関係を損うのみならず、本件賃貸借契約において生じた紛争を司法的に解決するにつき、賃借人側の真摯な対応を期待できないことを意味するものであり、契約当事者間の信頼関係は破壊されたものといわざるを得ない。

(5) したがって、被告の本件土地上における工作物等の設置行為は、昭和六一年一〇月までにおいて原告と被告の信頼関係を破壊したとまではいえないとしても、以上に延べた設置の経緯、特に本件訴訟係属後の被告の行為に照らしたときは、後にその一部を被告が撤去した事実を考慮しても、平成三年九月二六日ころまでには、敷地利用権の範囲を逸脱し、このことによって原告と被告の信頼関係は破壊されたものというべきである。

二以上によれば、原告は、右信頼関係の破壊するに足りる債務不履行を理由に、本件賃貸借契約の解除をなし得るところ、原告は昭和六一年に被告に対して解除の意思表示をした後、本件訴訟を提起して解除の有効性を主張し、平成三年一一月一二日本件訴訟の口頭弁論期日において、解除原因として右信頼関係の破壊の事実を主張しているのであるから、遅くとも同日において、本件賃貸借契約は解除されたものというべきである。

三よって、原告の請求は、本件建物の明渡し及び平成三年一一月一三日以降の約定遅延損害金の範囲で理由があるので、その限度でこれを認容し、原告のその余の請求は理由がないのでこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条及び九二条を適用し、仮執行宣言については、その必要がないと認めてこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官秋山壽延 裁判官中西茂 裁判官森英明)

別紙物件目録一

所在地番 東京都足立区<省略>

家屋番号 <省略>

構造 鉄骨造亜鉛メッキ銅板びき平屋建一棟

種類 店舗

床面積 1308.96平米

別紙物件目録二

1 所在地番 東京都足立区<省略>

家屋番号 未登記

構造 亜鉛板、鉄柱

種類 看板

寸法 縦三米、横一五米

位置略称 別紙現況図に①と表示、G広告板という

2 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 鉄板製、コンクリート土台

種類 広告塔

寸法 一片の幅1.5米の三角柱、高さ二〇米

位置略称 別紙現況図に②と表示、広告塔という

3 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 アルミ骨、ガラス張り、ブロック土台

種類 温室

床面積 約三七平米

位置略称 別紙現況図に③と表示、C建物という

4 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 プレハブ

種類 物置

床面積 約二平米

位置略称 別紙現況図に④と表示、F建物という

5 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 プレハブ

種類 店舗

床面積 約九一平米

位置略称 別紙現況図に⑤と表示、A建物という

注記 本建物は当初北側部分(二九平米)、南側部分(四四平米)が独立した二棟の建物であったものを中央部分(一八平米)で接合して、一棟の建物にしたものである。北側部分をAイ建物、南側部分をAロ建物、中央接合部分をAハ建物と略称する。

6 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 屋根付鉄骨棚

種類 商品置場

床面積 約一六平米

位置略称 別紙現況図に⑥と表示、D建物という

7 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 プレハブ

種類 レジスター係詰所

床面積 約三平米

位置略称 別紙現況図に⑦と表示、E建物という

8 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 鉄骨布張り

種類 店舗

床面積 約八二平米

位置略称 別紙現況図に⑧と表示、B建物という

9 所在地番 同右

家屋番号 未登記

構造 亜鉛板、鉄柱

種類 看板

寸法 縦三米、横一五米

位置略称 別紙現況図に⑨と表示、H広告板という

別紙図面<省略>

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